伊王島大工棟梁の傑作
大明寺聖パウロ教会堂は、1880年(明治13年)伊王島の大工の大渡伊勢吉が中心となり、パリ外国宣教会のブレル神父の監督のもと建てられました。
この教会は、木造、平屋、入母屋造、瓦葺きの建物で、建物の外観は伝統的な日本家屋と変わりないようにも見えますが、内部は大浦天主堂と同じく美しいゴチック風のアーチ型天井を持つ三廊式の教会堂建築です。
この大工の大渡伊勢吉は、島の船津地区の出身で、二十歳の時には大浦天主堂新築の工事、明治10年には現在の伊王島灯台記念館であるコンクリート造りの灯台官舎の建築にも従事し、この郷里である伊王島にある大明寺聖パウロ教会堂建設には棟梁として采配をふるっています。
上の写真では、建物前面中央上部に吹き放しの鐘楼があり、そこに釣鐘が下がっていますが、建設当初は大浦天主堂にみられる十字架のついた尖塔があり、中に釣鐘がつるしてあったということです。
この建物は、1994年(平成6年)に愛知県犬山市の明治村に移築され、2004年(平成16年)には、国の登録有形文化財に登録されています。
明治村にある大明寺聖パウロ教会堂については次の明治村ホームページでご確認ください。
現在のカトリック長崎教区の大明寺教会(次の写真)は、1973年(昭和48年)に建てかえられたものです。